自分のシャツが彼女の涙でしっとりと濡れていることに気づいたころ、
小川さんの嗚咽も小さいものになっていた。
抱えていた頭から手を離し、ゆっくりと彼女の肩を引いた。
向き合った小川さんのまぶたは僅かに腫れている。
頬には涙の痕がいくつも残り、開いた唇の隙間から、小さな呼吸が小刻みに漏れていた。
「小川さん……ごめん」
時々、彼女の瞳に残った涙が零れ落ちる。
一粒一粒を指先で拭う。
拭っても拭っても、俺が謝るたびに小川さんの瞳からはまるで雨のように涙が零れ落ちた。
小川さんは、いつしかそんな俺のことをじっと見上げていた。
泣きはらしたその顔に、俺の胸は押し潰されそうなほど痛んだ。
痛むと同時に、どうしようもない感情が込み上げてくる。
―――目の前のこの人を、離したくない。
そんな、身勝手な感情が。
俺の腕は再び彼女の体を抱きしめていた。
「小川さんが……好きなんです」
ほとんど押し付けのような告白だった。
抱きしめたまま耳元で呟き、そのまま頬に唇を当てた。
彼女を包む腕に力が入ってしまう。
あごを引いて彼女の顔をのぞき込むと、
悲しそうな、寂しそうな、哀れむような、そんな瞳の小川さんと目があった。
「そんな顔……しないでください」
俺の言葉に、けれど彼女の表情は変わらなかった。
「……あなたが好きなんです」
もう一度言うと、小川さんは少しだけ微笑んで、そして頷いた。
きっと彼女は、俺の気持ちを受け入れたわけではないだろう。
年下の男の、突発的な感情だと思っていたに違いない。
彼女の唇に自分の唇を押し付けている間も、小川さんは何も言わなかった。
細い体を、
抱いている間も――――

