こんな雨の中で、立ち止まったまま君は


 それから一週間以上が過ぎた。

 付き合うことにしたのだから当然なのだろうけれど、

 奈巳とは頻繁に会うようになった。


 会うたびに奈巳を抱いた。

 女にはもう興味なんてない……そう感じていたのが嘘のようだった。

 一度紐が解ければ、所詮俺も男だということか。


 抱けば気持ちがいい。

 俺の動きに切なそうな表情を浮かべ、声を上げる奈巳を見下ろしていると満足する。


 けれどその後、俺の腕に絡まり、身を寄せて眠る奈巳の姿を見ても、

 それ以上の感情を上乗せすることは出来なかった。


『本気じゃねーんなら…』


 終わると必ず圭吾の言葉を思い出した。

 俺はそれを払うように奈巳の髪を撫で、キスをする。

 好きだとも、愛しているとも言えず。


 けれど、

 奈巳は笑う。

 とても嬉しそうに。


 その顔を真っ直ぐに見ることができず、

 俺は奈巳の首筋に顔を埋めるようにしてもう一度きつく抱きしめる。


 奈巳の腕が背中にまわるたびに、

 胸の奥が締め付けられるような思いだった。