「これ飲んだら、私、半獣人じゃなくなります」

「うん、本望でしょ?
ずっと〝半獣人は嫌〟って言ってたもんね」

「……〜っ」


ちがうって、先生。

それはそれ、これはこれ、なの。


「私が人間になったら、先生と私が一緒にいる理由がなくなっちゃう……っ」


確かに、半獣人は嫌だったよ。
本当に、嫌いだったよ。

それでも、そんな忌み嫌う物が、私と先生を繋ぐ、唯一の赤い糸だったんだよ。


「研究やめるなんて、そんなこと言わないでくださいっ。先生は、一生かけて私を研究してください……!」

「ちょ、……待って。翠々香の言ってること、無茶苦茶だから。半獣人は嫌なのに、俺に研究されたいの?」

「だから、そう言ってるじゃないですか!」