半獣人になっている所を見られた私は、すぐに逃げようとした。
だけど架千先生は「万が一、君が通報され捕まったら、せっかくの研究対象がいなくなってしまう」――と。
元々天涯孤独の身だった私を、半ば拉致そして軟禁。あれよあれよと引っ越しもさせられ、同棲を初めて一か月が経とうとしている。
「で、俺のどこがヘンタイって? まだまだ寒いこの三月初めに、心が凍るような事を言わないでほしいな」
ココアを飲みながら、黒い髪を後ろで一つにくくる先生。邪魔なら切ればいいのに、先生の髪はいつも少し長い。
でも長い黒髪に白衣が似合っていて……って、違うちがう。架千先生はイケメンだから、ついほだされちゃう。
「ご自分のヘンタイ具合……、分かってないんですか?
先生は研究に没頭するあまり、周りの事が見えてないです。研究のためなら何でもするっていうか……。私と一緒に住んでるのもそう。これは、ヘンタイの所業です」



