「わあ、翠々香さんだ。めっちゃキレイだなぁ」

「そ、そんなことないよ」

「なんか小動物みたいでかわいいじゃんね~」

「しょ、小動物……」


学校の帰り道。

下校する私、を追い抜く皆に「ばいばい」と手を振った。

いいなぁ。皆みたいな大きければ、私ももっと早く歩けたり、走れたりするのかな。


「いや、私だって〝夜だけ〟なら早いはず……」


低い身長。
引っ込み思案、緊張しい。

こういうのが重なると、たいていは「小動物」に例えられる。

例え――だけならいいのだけど。

私にとって「小動物」は、例だけにとどまらず、



「本物」なのです。



「はーい。今日は耳を調べようかな。はい、動かないで」