「学生は勉強することが仕事だからね」

「でも、私が学校に行ってる間、先生は家で寝てるんですよね?」

「そりゃ、夜通し仕事してたからね」


目の下にクマを作っている先生は、いわゆる昼夜逆転生活をしている。

研究対象の私が家にいる時は一秒でもムダにしたくないと、ずーっと研究に励んでいるらしく……とにかく不摂生。

それに……


「知ってるんですよ、私。

先生、最近お昼も起きてますよね?」

「え」


鳩が豆鉄砲を食らったみたいな。そんな驚いた顔をした先生を、ため息をつきながら見つめた。


「寝ないと頭は働かないですよ? ちゃんと寝てください。じゃないと……心配です」

「翠々香……。うん、ありがとう。今日こそ寝るから、安心して」

「……」

「疑惑を無言で表現するの、やめてくれない……?」


約束ですよー、と言い残して、身支度が終わった私は部屋を後にする。


だけど、その時――