食いしんぼなタヌキくんはその夜、マドから見えたキレイなお月さまに見とれてお家から出てきました。

「おいしそうなお月さま!おせんべか、おだんごみたいにまんまるだあ!!」

 ごきげんでニコニコのタヌキくんは、お月さまを見ながらトテトテと歩きはじめます。
 お日さまがお空にいるときにいつもみんながあつまる、おかの上に向かって。


 キラキラのお星さま、まんまるピカピカのお月さまを見ながらタヌキくんがおかの上につくと、なんと、とても大きなまんまるがありました。
 タヌキくんのお家くらい。いいえ、もっと大きいかもしれません。

 ふわふわでまんまるで、とてもいいにおいもします。

「わああ!!」

 タヌキくんはおいしそうなものを見つけたのでうれしくなり、目をキラキラさせて大きな声をあげました。
 でも、かってに食べてはいけません。だれかの大切なおやつにきまっているのですから。

きょろきょろ……

 タヌキくんは近くにいるはずのだれかさんをさがしはじめました。

 すると少しはなれたところに、ひょっこりとだれかの頭が見えます。
 けれどタヌキくんからは、くらいために、それがだれなのか分かりません。