俺にとって、梨李は天使のような存在だった。出会ったのは俺が小学生高学年。梨李が小学生低学年くらいの頃だった。公園で泣いていた梨李を助けたほんの些細なことから始まった俺の恋。俺の家柄のことを知っても動じることもなく前と同じように俺に接してくれた梨李にいとも簡単に恋に落ちた。そんな毎日がとても楽しかった日々がある日突然激変した。いつも約束をしていた場所に、梨李が急に来なくなったんだ。30分ほど待っていたら、梨李から電話がかかってきた。

「もしもし凪くん?今日は約束の場所に来れなくて本当にごめんね。実は家庭の事情で、引っ越すことになっっちゃったんだ。だからもう明日からも遊べない。本当にごめんね。」

という一方的な電話だったんだ。そのあと電話やメールもしたが一向にかえって来なかった。
そんな会えなくなった梨李のことを、俺は約十年間ずっと探し続けてきたんだ。