瀬七さんのふとした言葉に、また鼓動が速くなった。特に意味はないと思うのに。
「……かもしれませんが、私みたいに頑固かもしれませんよ?」
「だな。その素質はありそうだ」
自分で言ってみたはいいけれど、声をあげて笑う瀬七さんにむっとする。
瀬七さんはとっても優しいけれど、私だけにいじわるになる。
しかも、ふたりきりのときに。
瀬七さんを意識しつつ、色んな話をしていたらいつの間にか駐車場に止めていた車に到着していた。
眠っている栄斗をチャイルドシートに乗せ、ハンカチで額や首に浮かんだ汗をぬぐう。
「ひかり、少し助手席に来てくれないか? 君に渡したいものがあるんだ」
「え?」
帰りの支度を進めていると、背後から瀬七さんに声を掛けられどきっと心臓が跳ねた。彼の表情はどこか真剣に見える。
「……瀬七さん、お待たせしました」
「ああ、ここに座って」
緊張したまま助手席に入りこむと、運転席に座っていた瀬七さんは鞄から小さな巾着袋を取り出した。
そして微笑みながらそれを私に差し出す。
「その中に、ずっと渡しそびれていたものが入っている」


