栄斗の指さす方に、小さい子供が乗れるようなミニジェットコースターが勢いよく走っていった。
今出発したばかりか、列はそこまでできていない。少しでも時間を潰せたらいいけれど。
瀬七さんも私と同じことを考えてくれていたのか、すぐに栄斗が乗れる乗り物なのかを立っていた従業員に確認しに行ってくれる。
「……三歳でも大丈夫みたいだ。どうする? 俺と乗るか?」
瀬七さんが提案すると、栄斗はにこっと元気よく笑顔で返事をした。
「うんっ。せなおにいさんとのる! まま、まってて!」
「ふふ、わかったわ。ふたりとも楽しんできてね」
楽しそうに笑うふたりを、手を振って見送る。
遠くに見える栄斗は、何やら瀬七さんに一生懸命話しているようだ。
瀬七さんは瀬七さんで、栄斗のつたない言葉を聞き取ろうと体を屈めているのが見えた。
ふたりの仲睦まじい姿を見て、温かい気持ちになる。
栄斗が、ここまで瀬七さんに懐くのはさすがに想像していなかった。
本能的に、父親の彼が好きなのかもしれない。
それに……いつも、私と母で過ごすときよりもやんちゃに見えた。
周りの目を気にして遠慮しやすい性格なのかと思ったけれど、瀬七さんに見せる彼の姿はまた違う。
栄斗は、もしかしてお父さんがほしかったのかな……。
瀬七さんに笑顔を向ける彼を見て、ぼんやりとそう思った。


