天才外科医は激甘愛で手放さない~絶対に俺の妻にする~

 瀬七さんの元気な声が、がらりと空気を変えた。

 私も笑顔で、バックから取り出した紙パックのオレンジジュースにストローを通し、栄斗に渡す。

 栄斗、ごめんね。

 きっと、パパが誰なのかずっと気になってるんだよね。

 あんなことを瀬七さんに尋ねるくらいなのだから、彼の小さな心の中にそういった疑問が常にあるのだと思う。

 どうするのが正しいのかな?

 私は瀬七さんに恵さんが恋仲ではないと聞いた、二週間前からずっと考えていた。

 瀬七さんには、栄斗が元彼の子だと嘘をついている状態。

 それは、四年前のあの電話の一件と、恵さんと婚約しているという噂を聞いていたから、もう彼にこのまま告げず、栄斗を母とふたりで育てようと決めた。

 でも。

 瀬七さんの言い分としては、恵さんとは恋人でもなんでもないという。
 
 栄斗の出生に関して伝えちゃいけない理由はなくなったのだ。

 しかし簡単な話ではない。

 栄斗の出生に関して打ち明けることは、瀬七さんの人生も、私たちの人生も大きく変える。

 私は瀬七さんをまだ想っている。でも、彼の気持ちは分からない。

 恋人を通り越して、父親になるなんて。重荷と感じる人がほとんどだ。

 今はただ……何も知らない状態で、栄斗を楽しませることに集中したい。

 本当の話を瀬七さんに打ち明けるかどうか考えるのは、今日が終わってからだ。