まったく想像していなかった瀬七さんの反応に、唖然とした。
これはまさか、知らないふりをしているの?
でも、瀬七さんの表情からして、本当に分かっていなさそうだから困惑する。
「め、恵さんです! 院長の娘さんの」
私がアシストすると、瀬七さんは納得したように微笑んだ。
「あぁ、メグのことか。あの子は昔から家族ぐるみで仲がよくて、別に付き合ってはいないぞ」
「え……?」
瀬七さんの言葉に、さらに頭が混乱を極めた。
つ、付き合ってない? じゃあ、シンガポールのあの親密な電話は……?
元カノだったということなのかな。
私を見て不思議そうにしている瀬七さんを、まっすぐ見返す。
「い、今はお付き合いしていなくても、四年前は恋人関係でしたよね……?」
緊張で喉がカラカラだ。
今だって当時の状況を鮮明に思い出せるくらい、あの電話を聞いたときはショックだった。
だから、聞き間違いなんてことはないと思う。
弱々しく言葉を発した私に、瀬七さんは小さく笑った。
「いや? ひかりにも話していたと思うが、当時から誰とも付き合っていない。恵に聞けばわかる話だ」


