天才外科医は激甘愛で手放さない~絶対に俺の妻にする~

 ランチクロスをほどいていた手が止まる。

 「どうして、瀬七さんが知ってるんですか?」

 同じ現場で働いているナースはみんな知っているけれど、長年一緒に働いている医師に、私がシングルだと知っている人はほとんどいないと思う。

 「今日の朝、東園寺先生から聞いた。君と毎日、連絡を取り合っているとも言っていたよ」

 「ああっ……」

 大きなため息をとともに、頭を抱える。

 忘れていた。唯一、私が直接シングルマザーだと伝えた医師が、ひとりがいたことに。

 しかも余計な情報まで瀬七さんに伝えているなんて。本当にやめてほしい。

 「子供はいくつなんだ?」

 「三歳です、けど……」

 何も考えずに答えてしまってから、我に返る。

 こんなに簡単に、栄斗の実の父親の瀬七さんに、あれこれ話していてもいいものか。

 「三歳。というと」

 瀬七さんはそう独り言ち、黙って考え始めた。

 彼の真剣な横顔を見て、徐々に頭が冷静になってくる。

 あれ、やっぱり私。今相当まずい話をしているんじゃ……?

 「妊娠したのが四年前だとして。もしかして、あの別れた男の間にできた子なのか?」