「瀬七さん……」
彼の言葉に、目の奥が熱くなる。
頭が混乱してきた。
瀬七さんに騙されたのに。今、本当に想って言ってくれているような気がしてしまうなんて。
黙ってその場で動けないでいると、瀬七さんは「いきなりすまなかった」と私に謝る。
「君も昼食をとる予定だったんだろ? いっしょに食べないか」
瀬七さんの落ち着いた声が、しんみりとした空気を明るくする。
さりげなく目尻にたまった涙をすくい、顔をあげると、彼はすでに椅子をひとつ引いて、私に座るように促していた。
「ほら、早く」
「は、はい」
瀬七さんの強引さに、昔を思い出しながら席につく。
彼は私からひとつ席を空けて、先程の椅子に腰を下ろした。
多分、瀬七さんは私がひかりだと認めて満足できたのだろう。
私もひとつ大きな重荷を下ろしたからなのか、心が多少軽くなったような。
「君は今、シングルマザーなんだってな」


