天才外科医は激甘愛で手放さない~絶対に俺の妻にする~

 ほぼ彼の懐にいると気づき、体温が一気に上がる。

 壁と瀬七さんに板挟みになっていて、うまく身動きが取れない。

 「あの、西堂先生……少し離れて頂けると……」

 「君がひかりだと認めるまで、ここを動かないと言ったら?」

 「え?」

 瀬七さんがとんでもないことを言い出したので、迷いなく顔を上げた。

 案の定、色気を感じる瞳に見つめられ、熱が頬に集中してきてしまう。

 「なぜあのときのひかりなのに、嘘をつく? 俺を騙せないと一番君が分かっているはずだ」

 四年前と変わらない余裕たっぷりの態度に、体が火照ってくる。

 しかしなぜここまで必死になって、私だと知る必要があるのだろう。

 瀬七さんほどの人が、四年前の遊びの女になんてこだわらなくたっていいのでは……?

 「ち、違います。よくわかりません」

 「大学病院の看護師で、こんなにそっくりで、名前がひかりで……違うと? 俺は君が好きだったのだから、騙せない」

 そう言った瀬七さんの表情がどこか寂しそうで、胸がきゅっと締め付けられた。

 どうしてそんなことを言い出すのか、理解できない。

 私はすごく好きだったけれど、もともと裏切ったのは瀬七さんだ。

 恵さんに“愛してる”と言っていたのを、私はちゃんと聞いているのに。

 すっかり消えたと思っていた、当時の瀬七さんへの怒りの感情を思い出す。

 やはり、この際ちゃんと私がひかりだと認めて、謝るところは謝れば、瀬七さんは納得してくれるのだろうか。

 数秒間迷ったけれど、私は覚悟を決めた。

 「わ……分かりました。そこまで言うのなら。私は……あのときの、ひかりですよ」