デスクランプにひっかけたネックレスの光が、強い光を放つ。

 ひかり――彼女の名前に相応しい、人に希望を与えられる女性。

 今ならわかる。俺が彼女の光と影に強く魅了されていたことに。

 幼いときに父親を亡くし、フィアンセに婚約破棄をされ……。

 ぬぐい切れない苦しみにもがきながら、必死で前を向こうとする彼女は美しく、自分も厳しい現実に負けてはいけないと奮い立たせれた。

 素直な性格で表情が豊かな彼女に元気をもらえたし、困っている人に迷いなく手を差し伸べられる優しい心も愛おしかった。

 一緒にいた時間はたった二日間だ。でも。

 俺は恩師を亡くしたばかりで身も心も疲れ果てていたというのに、知らぬうちに彼女のおかげで暗いトンネルを抜けられていた。

 医師を続け多くの人を救い続けたいと、彼女に出会えて思い直すことができた。

 何より、今までいっしょにいた誰よりも一緒にいて居心地がよかった。

 彼女に惹かれることは俺にとってごく自然で、末永く一緒にいたいと想える相手だった。

 今もそう思っていると知ったら、ひかりは往生際が悪いとなじるだろう。

 「西堂君、入ってもいいかね?」