瀬七さんの言葉が信じられなくて、言葉が何も出てこない。
彼は特別な人なのに、こんな平凡な私のことを好きになってくれたの?
視線が固く結ばれ、息が苦しくなるほど鼓動が速くなっていく。
「俺と恋、始めてみる気はないか?」
「瀬七さん……」
『Ladies and gentlemen, the splendid show is about to begin』
突然、あたりが消灯し、会場アナウンスがかかる。ガーデンラプソティが始まるようだ。
スピーカーから放たれる音とあたりの騒がしさに、私たちは自然と視線を解く。
七十年代のレトロなディスコミュージックに合わせ、スーパーツリーの電球がチカチカと点灯をし、わっと歓声があがった。
花火みたいに開いては消えていく光を見ながら、この数日間が走馬灯のように脳裏を駆け巡る。
本当に楽しかった。
瀬七さんが好きだ。
瀬七さんがいうように一緒に過ごした時間は短いのに、彼といると心が温かくて心地がいい。
でも。またいずれ傷つく日がくるのではと思うと、恋をするのが怖い。
怖い……怖くて仕方がないけれど、止められない。
本心に抗おうとすればするほど、彼に惹かれていってしまう。
なんて悲しい心の作用なんだろう。
耳を流れていくアップテンポな音楽が、臆病な私の背中を後押ししてくれる。
体を起こし、すでに体を元の位置に戻していた瀬七さんの腕をつかんだ。
彼はわずかに目を見開き、こちらを見上げる。
「瀬七さん、私……恋、始めてみたいです」


