腕時計で確認すると、午後八時半。ショーが始まるまで少し時間がある。
スーパーツリーの木々の間から見える高層ビルの夜景が、すでにうっとりするほど美しい。
ふたりの間に沈黙が落ち、遠くで喧騒が聞こえた。
本当にもうすぐ終わる。飛行機に乗る前はあんなに鬱々としていたのに、今は心が充実感でいっぱいだ。
それもこれも、瀬七さんが一緒にいてくれたから……。
「ひかり。この二日間ありがとう」
彼の声が耳に届き、意識が引き戻される。
自然と横を向くと、寝転んでいた瀬七さんは私のほうへ体を向けていた。
「元気になったか?」
「はい。おかげさまで」
絡んだ視線は熱く、鼓動が速くなっていく。
「こちらこそ、ありがとうございます。本当に楽しくて……瀬七さんのおかげで、最高の旅になりました」
「本当か? 恨んでいないか?」
「はい、もうほとんど薄れてます。まだ少し残っているけど」
冗談を言い合って、どちらともなく笑い声をあげる。こんな些細な時間に幸せを感じる。
やっぱり、すごく離れがたいよ。
すると瀬七さんは笑顔を消し真剣な表情で口を開いた。
「ひかりのおかげで、俺はまだ医師を続けられそうだ」
「え?」


