彼の大きな声が店内に響き、男性たちも動きを止める。
『何してるんだ。彼女は俺のフィアンセだぞ』
瀬七さんは真っ向から言い放つと、男性の手から私の手を強引にほどく。
そしてすぐに私の腰を抱き、懐に引き寄せた。
「!」
彼らに牽制するためにしてくれているというのは分かっている。
でも、瀬七さんの体温がとても近くて。
シャツの香りが濃厚に香ってきて。
胸がぎゅっと締め付けられる。
『強引に女性を連れて行こうだなんて、お前らろくでもないな』
『あ、あー……ごめんごめん。俺たちが悪かったよ』
彼の激しい剣幕にたじろいだ男性たちは、そそくさとその場から逃げていく。
彼らの姿がようやく見えなくなって、腰に回された手の力が緩まった。
顔を覗き込んだ瀬七さんがとても心配しているような表情を浮かべていて、急に目頭が熱くなる。
あ、あれ……どうして?
「俺が目を離したからこんなことに。ごめんな、ひかり」
「せ、瀬七さんは悪くありません。私が、お金を落としちゃったから」
「ひかり?」
視線を頑なに落とし続ける私を不思議に思ったのか、彼の親指が頬に触れ、そっと涙をぬぐわれた。
なぜか溢れて止まらない。
“また”男性に見くびられた悔しさからなのか、瀬七さんが助けてくれた安堵からなのか。
彼が私に言った言葉が引っかかっているのか。分からない。
「大丈夫か? 少し休むか?」
「いえ、大丈夫です。時間がないから……」
「わかった」
そういった瀬七さんは私から体を離すと、私の右手をぎゅっと強く握った。
驚く私に、前を歩き出した瀬七さんは真剣な表情で振り返る。
「手を出すうちに入るなら、やめておく。このままにしていてもいいか?」
『何してるんだ。彼女は俺のフィアンセだぞ』
瀬七さんは真っ向から言い放つと、男性の手から私の手を強引にほどく。
そしてすぐに私の腰を抱き、懐に引き寄せた。
「!」
彼らに牽制するためにしてくれているというのは分かっている。
でも、瀬七さんの体温がとても近くて。
シャツの香りが濃厚に香ってきて。
胸がぎゅっと締め付けられる。
『強引に女性を連れて行こうだなんて、お前らろくでもないな』
『あ、あー……ごめんごめん。俺たちが悪かったよ』
彼の激しい剣幕にたじろいだ男性たちは、そそくさとその場から逃げていく。
彼らの姿がようやく見えなくなって、腰に回された手の力が緩まった。
顔を覗き込んだ瀬七さんがとても心配しているような表情を浮かべていて、急に目頭が熱くなる。
あ、あれ……どうして?
「俺が目を離したからこんなことに。ごめんな、ひかり」
「せ、瀬七さんは悪くありません。私が、お金を落としちゃったから」
「ひかり?」
視線を頑なに落とし続ける私を不思議に思ったのか、彼の親指が頬に触れ、そっと涙をぬぐわれた。
なぜか溢れて止まらない。
“また”男性に見くびられた悔しさからなのか、瀬七さんが助けてくれた安堵からなのか。
彼が私に言った言葉が引っかかっているのか。分からない。
「大丈夫か? 少し休むか?」
「いえ、大丈夫です。時間がないから……」
「わかった」
そういった瀬七さんは私から体を離すと、私の右手をぎゅっと強く握った。
驚く私に、前を歩き出した瀬七さんは真剣な表情で振り返る。
「手を出すうちに入るなら、やめておく。このままにしていてもいいか?」


