視線を上げると、私の目の前にアラブ系の背の高い男性ふたりが立っていた。
そのうちのひとりがお金を拾い上げてくれ、私に渡してくれる。
『ありがとうございます』
『お姉さん、可愛いね』
恐縮してしまうほど、友好的な笑みを向けられて苦笑いをしてしまう。
今まで瀬七さんがつきっきりだったので、直接外国人のかたと話すのはこれが初めて。
片言の英語で礼をしながらお金を受け取ろとしたそのとき、大きな手にぎゅっと右手を掴まれた。
『!?』
『日本人だよねぇ?』
『お友達と遊びに来てるなら、僕たちがこの辺を案内するよ』
にこにこと好意的な笑みを浮かべながらあっという間に囲まれてしまい、近すぎる距離に激しく戸惑う。
「やめてほしい」と日本語で訴えながら手を振りほどこうとしても、強すぎる力でびくともしない。
しまいにはグイッと強く腕を引っ張られ、体が前のめりになった。
「ほ、本当に離してくださいっ……!」
『とりあえず店を出よう。ここじゃおしゃべりしづらい』
真っ先に瀬七さんが頭に浮かび、助けを求めようとしたそのとき。
「ひかり!」


