天才外科医は激甘愛で手放さない~絶対に俺の妻にする~


 隣から聞こえてきた声に振り返ると、瀬七さんは真剣な眼差しをネックレスに向けていた。

 「いつもはにこにこ笑っているのに、ふとしたときに悲しい表情をするところが」

 「な……」

 「綺麗だ」

 そう言い残すと、瀬七さんの指からネックレスを奪っていく。

 一瞬、何が起こったのか分からず動けないでいたけれど、彼がレジで品を渡している姿を見て我に返った。

 「アテンドまでしてもらって、こんな高価なもの。申し訳ないです」

 お財布を出しながら瀬七さんに訴えるけれど、彼は一瞬たりともこちらを見ず、取り付く島もない。

 「いいんだ。君は土産を選んでいろ。俺も少しこの店を見たい」

 「うー……じゃ、じゃあ、お言葉に甘えますね? ありがとうございます」

 「ああ」

 瀬七さんと少し離れた場所で、雑貨を眺める。

 本当に彼は強引で、不思議な人だ。

 突然、あんなことを言い出すなんて、どこまで人の心をかき乱せば気が済むのだろう?

 元カレを思い出すこともなく、せっかく元気を取り戻していた。

 悲しい顔をしているとか言われて、ちょっと傷ついた。

 すると、チャリーン、チャリーンと、立て続けに小銭が床に落ちる音が響く。

 あぁ、お財布手に持ったままだった。ぼんやりしてた………!

 勢いよく床を転がっていく小銭を追っていると、男性のスニーカーに当たりぱたりと床に倒れた。

 『おっと、君のか?』