『ジェニー。メグは日本にいるから大丈夫だよ。バレはしない』
ふたりの間に飛び交う“メグ”という女性の名前と“japan”という単語に動きを止める。
頑張って聞き取ろうとするけれど、会話のスピードが速すぎるのと、わからない単語が目白押しで諦めた。
心臓が不穏な音を立て、喉を鳴らす。
「ひかり、中断してすまない。彼女は友人の交際相手で、よく仲間内で食事をしている仲なんだ」
「そうだったんですね」
ジェニーさんと別れ、気を取り直して観光を再スタートさせる。
“メグ”という名前を気にしてしまうけれど、あえて誰なのか? とは、私が気になっているように思われるから、聞けない。
瀬七さんといると楽しくて忘れちゃいがちだけれど、私たちは住む世界が違うのだ。
この旅行が終わったらただの他人に戻る。元々そうだったはずだ。
その後、私たちはタクシーを拾って、観光地として有名なアラブストリートへ向かう。
シンガポールは多様な民族が集まっており、このアラブストリートはムスリムの生活圏として繁栄してきたようだ。
なので街並みも本場さながら。
トルコやエジプト、モロッコ料理などを楽しんだり、エスニックなお土産屋たくさん並んでいて、一日中楽しめる。
「わ、可愛い。このネックレス」
シンガポール最大の寺院を観光し、お土産屋さんを回る。
瀬七さんにわがままを言って、アンティークショップに立ち寄ってもらった。
そこですぐに目についたシルバーネックレスは、チャームが太陽の形でかたどられ、中央に天然石が埋め込まれている。
ネックレスを指でひっかけ、角度を変えると、金属部分が照明に反射しキラキラと光って、うっとりするほど美しい。なんだか無性に元気がもらえるのも不思議だ。
「ひかりみたいなネックレスだな」
「え?」


