翌日、私たちは朝からマーライオン像の前で待ち合わせて、最終日の観光をスタートさせた。
「ひかり、もう少し右。ああ、いいな」
私のスマホを手に持った瀬七さんがマーライオン像の前に立つ私を、何枚か収めてくれる。
今日の彼は昨日とは打って変わり、白シャツにテーパードパンツという綺麗めな服装。髪型もちゃんとセットされていて、通り過ぎていく人はみな振り返って魅入っていた。
私もやけに緊張してしまったけれど、昨日のようにくだらない言い合いをしていたら、徐々にいつもの調子に戻っていった。
次の場所に移動しようと歩き出したそのとき、長身の小麦色の肌の美女が私たちのもとに笑顔で駆け寄ってくる。
『セナじゃないの! どうしてこんなところに!』
『ジェニー、奇遇だな』
ふたりは親し気に英語で会話を交わしている。
ジェニーと言われるその女性は、お腹が見えるような短い丈のノースリーブトップスに、ショートパンツ。
メリハリのある色っぽい体形がわかる服装に、目のやり場に困ってしまう。
すると突然、くるりと瀬七さんがこちらを振り返り私に微笑みかけた。
『彼女は俺の友達だ。名前はひかり』
『友達? 私、会ったことないわよね?』
『ああ、彼女とは知り合ったばかりだ』
大体話している内容は分かるが、流暢すぎて確信は持てない。
するとジェニーさんは眉間の皺を寄せて私をじーっと見つめた後、ため息を吐きながら瀬七さんの肩を叩く。
『メグが知ったら怒るわよ。私、忠告したからね』


