天才外科医は激甘愛で手放さない~絶対に俺の妻にする~

 瀬七さんはすごく強引だし俺様っぽいのに、話を聞いてくれているときは妙な安心感がある。それに、興味も持ってくれる。
 
 要はとても聞き上手なんだろう。本当に女性にもてるんだろうな、と心でつぶやいた。

 「……そういえば、瀬七さんは付き合っている人はいるんですか?」

 「え?」

 ふと疑問に思って尋ねると、彼はわずかに目を見開き動きを止めた。

 「急にぶっこんでくるな。気になってくれているのか?」

 「そっ、そういうわけでは。私は失恋しましたけど瀬七さんはどうなのかなって」

 くくっと笑うと、彼はグラスを呷る。

 彼がドリンクを飲んで待っている間、喉が渇く。

 なぜ、私は緊張しながら彼の答えを待っているのだろう。

 「今はいない」

 ふいに鋭い双眸に捉えられ、どくんっと鼓動が跳ねる。

 いやだな。さっきから心臓が過剰反応していることも見破られていたら。

 「えっと、じゃあ……遊びの女性が複数いるような感じ、なんですか?」

 自分で言っていやになるが、元カレの一件で完全に男性を“そういうことができる生き物”だと思ってしまう。

 彼の場合は私の元カレなんかの比じゃない、ハイレベルな美女たちなのだろうけれど。

 すると瀬七さんは微笑みながら小さく首を振る。

 「そんなの、遊びとして扱われた女性たちにも失礼だろ。俺はひとりの女性を愛し抜きたい」