瀬七さんはぱくっと小籠包を口にして、咀嚼しながら私に目で訴えてくる。
早くどっちにするのか決めろと。
もはや彼は人の心を読める超能力者なのでは、と怖くなってきた。
たしかに……頑なにひとりで、観光したいというわけでもない。
というか、強がってはいるけど海外でひとりで動き回るのはいくら治安のいいシンガポールでも怖い。
彼がいれば安全に楽しめるのかも。
それに、“あの男”を思い出す頻度もぐっと減るかもしれない。
人生で初めての一人旅。一か八か、この人にかけてみてもいいのかも……?
「手を出した時点で、解散ということにさせて頂いてもいいですか?」
不安を払しょくできず思い切ってそう尋ねると、
瀬七さんはあきれたような顔で余った小籠包を私に渡してくれる。
「わかった、わかった。ほら、冷めるぞ。早く食べて明日に備えて寝た方がいい」
「は、はい……」
もう彼の中ではスケジュールが組まれているような口ぶりだ。
こんなドラマみたいな展開あるんだ、と他人事のように心でつぶやきながら私は熱々の小籠包を口に含んだ。
早くどっちにするのか決めろと。
もはや彼は人の心を読める超能力者なのでは、と怖くなってきた。
たしかに……頑なにひとりで、観光したいというわけでもない。
というか、強がってはいるけど海外でひとりで動き回るのはいくら治安のいいシンガポールでも怖い。
彼がいれば安全に楽しめるのかも。
それに、“あの男”を思い出す頻度もぐっと減るかもしれない。
人生で初めての一人旅。一か八か、この人にかけてみてもいいのかも……?
「手を出した時点で、解散ということにさせて頂いてもいいですか?」
不安を払しょくできず思い切ってそう尋ねると、
瀬七さんはあきれたような顔で余った小籠包を私に渡してくれる。
「わかった、わかった。ほら、冷めるぞ。早く食べて明日に備えて寝た方がいい」
「は、はい……」
もう彼の中ではスケジュールが組まれているような口ぶりだ。
こんなドラマみたいな展開あるんだ、と他人事のように心でつぶやきながら私は熱々の小籠包を口に含んだ。


