天才外科医は激甘愛で手放さない~絶対に俺の妻にする~


 「うそ、本当に?」

 「ええ、名前も年齢も間違いありません。母は以前、心筋梗塞で倒れたことがあって……。ちょっと、冷静にならないと……」

 母が生死をさまよっている現実が、まだ受け止められないでいる。

 これから苦しむ母を前にして、落ち着いて仕事をする自信がない。

 すると師長も私の心情を配慮してくれて、今回の器械出しからは外れることになった。

 「すみません、みなさんにご迷惑をおかけして。よろしくお願いします」

 「私たちは大丈夫よ。あなたは休憩室で休んでいなさい」

 「はい」

 このタイミングでストレッチャーに乗った母が運ばれてきた。

 込み上げる涙を必死で耐えながら集中治療室から出ていこうとすると、ちょうど瀬七さんたち、心外の医師と鉢合わせる。

 「ひかり」

 瀬七さんは憔悴しきっている私を見つけて、気遣わし気に目を細めた。

 「母が……。瀬七さん、どうかよろしくお願いします」

 涙を浮かべながら訴える私に、彼の透き通った瞳が力強く見つめ返してくれる。

 「大丈夫だ。お母さまの生命力と俺たちを信じてくれるか」

 「はい」