恵さんの言葉に、頬がじわりと熱を帯びる。
四年前のあの日だけ、彼に正直な気持ちを伝えた。
でもあれきりだ。自分の本当の気持ちにずっと蓋をしてきた。母にも、友達にも、そして本人にも話していない。
私は瀬七さんをずっと想っていた。栄斗の父親として瀬七さんと暮らしていけたらどれだけ幸せだと、本当は想っていた。
「私も……四年前からずっと、瀬七さんのことが好きです。だから、ちゃんと話したいです」
正直な気持ちを伝えた途端、恵さんの大きな瞳がキラキラと輝く。
「よかったっ……ひかりさんも同じ気持ちで。瀬七に伝えてあげてください。絶対に、喜ぶと思うから」
「はい……」
恵さんが自分のことのように喜んでくれるので、照れ臭い気持ちになってしまう。
よかった。瀬七さんと恵さんの間に何もなくて。恵さんが、とてもいい人で……。
ふたりで微笑み合っていると、ポケットに入れていた院内用スマホの呼び出し音がかかる。
あれ、休憩中にかかってくるなんて珍しいな。
恵さんに断りを入れ受話器ボタンをタップすると、星宮ちゃんが真剣な声で名乗った。
『休憩中にすみません。今すぐ戻ってきてもらえますか? 心外の緊急オペが入りました』


