恵さんの言葉に、耳を疑う。
私が想像していた内容と、真逆を指しているから。
すると恵さんは私の顔を見た後、深いため息を漏らした。
「……うちの父も、噂を信じてしまったようなんです。さらに病院の者に、私と瀬七の交際を奥名さんが邪魔をしていると嘘を吹き込まれて、無実のあなたにひどいことを言ってしまったようですね。本当に、申し訳ありません」
「えっと……」
頭が混乱して、いまいち内容が入ってこない。
恵さんと瀬七さんは付き合っておらず、院長もただ噂話を信じただけだったということ?
でも、そこで急に私の名前が出てくるなんておかしい。私と瀬七さんの関係は、誰にも知られていないはず……。
そう考えるも、急に過去の記憶と目の前に起きている現実が結びついてしまう。
「霧島さん、もしかして……院長に嘘を吹き込んだのって……」
緊張で震えながら尋ねると、恵さんは深刻な表情を浮かべた。
「瀬七と一番近い距離にある東園寺先生の言葉を、父は信じてしまったようなんです」


