数時間後。約束したカフェにやってくると、先に来ていた恵さんが席に座り、私に向かって手を挙げた。
購入したコーヒーをテーブルに置き、彼女と向かい合うようにして椅子に腰かける。
「お待たせして申し訳ありません。今朝はありがとうございました」
「いえ、こちらこそです」
恵さんは朝と変わらない、落ち着き払った様子で笑っている。
一方私はというと、恵さんがナースステーションに来てから速くなった鼓動の音が収まらず、
不安や緊張が顔に出ないようにと必死に笑顔を作っている状態だ。
すると恵さんの目がふいに鋭く光った。
「今日は瀬七と私の関係について、ちゃんとあなたにお伝えしたくて。院内に流れている噂についてももちろん」
「……はい。わかっております」
やはり恵さんの耳にも噂は伝わっているらしい。どんなふうに私を問い詰めるのだろうか。
怖気づいてしまいそうになるけれど、彼女から目をそらしてはだめ、と自分に言い聞かす。
「たしかに、私と瀬七は昔から仲はいいです。ですが、一度も付き合ったことはありませんし、結婚する予定もないです」
「え……?」


