「それは……」
瀬七さんと私の関係のこと?
やはり婚約者の恵さんにも、私が瀬七さんに付きまとっているという認識でいるのだろう。
だったら恵さんの心の平穏のためにも、誤解を解かなければならない。
私と彼はなんの関係もないと……。
彼と栄斗のことを考えると胸が苦しくなるが、初めから何もなかったとするしかない。
すると恵さんは首をわずかにかしげ、笑みを深めた。
「とりあえず、今からお仕事が始まりますしお昼休憩にお話しできたらと思うのですが、いかがでしょう」
「……そうですね。では……」
休憩時間が予想される十四時に院内にあるカフェで待ち合わせしよう、という提案すると、恵さんは快諾してくれる。
「では、奥名さんまた。いきなり訪れて申し訳ありませんでした」
「いえ、こちらこそ」
彼女の華やかな笑みに少し圧倒されながらも、笑顔を返す。
想像していたよりもずっと落ち着き払った様子で、若いのに気品を感じた。
瀬七さんと隣に並んでも、まったく引けをとらない美しい人。
私から見ても、彼女は瀬七さんにお似合いだ。
「奥名さん。こちらです」


