背後から舌打ちが聞こえるも、俺は無視をしてオペ室へ向かう。
「じゃあ僕も。あんたが休憩室でナースと遊んでたこと、みんなに言いふらしますから」
「遊ぶ?」
聞き捨てならない言葉に振り返ると、東園寺は冷ややかな目で俺を見ていた。
「僕、ちゃーんとこの耳で聞いたんですから。休憩室でひかりさんを口説いてるの。西堂先生が大好きな院長が知ったら怒り心頭じゃないですか? お嫁さん候補の恵さんも泣いちゃうでしょうね」
「東園寺……」
すべてが繋がって、怒りに震える。
この男だ、事実を湾曲して院長に嘘を吹き込んだのは。
俺とひかりが休憩室で話したのは、あの一回きり。
一緒のオペに入っていた東園寺が俺たちの会話を聞いているなんて、夢にも思わなかった。
休憩室の接触以外、俺たちは最善の注意を払って徹底していた。
ひかりに相手にされず逆恨みをするなんて。なんと小さい男なんだろう。
彼女が傷つけばいいとでも思っているのだろうか。
言葉を失う俺を見て、思い違いをしている東園寺は楽し気に笑っていた。
「今日はどうぞよろしくお願いしますね。名医の西堂先生」


