シングルマザー、というワードに心臓が大きく波打つ。
もちろん、脳裏に過るのはひかりだ。
「俺に猛アタックしているシングルマザー?」
大きな不安が襲ってくるが、冷静になれと自分に必死に言い聞かせる。
「院長から聞いたんですよ。恵さんと西堂先生の邪魔をするシングルマザーのナースがいると。俺が独身だから、代わりにその女性をもらってやれなんて――」
「やめてくれ」
口を衝いて出た言葉に、我に返る。
俺の顔を見た笹本医師は、青ざめた顔で口を閉じた。
どういうことなんだ? ひかりのことを、なぜ院長は知っている……?
頭が混乱を極めているが、俺の知らないところでひかりが深く傷ついているのはたしかだろう。
「笹本先生、失礼いたしました。噂は噂でしかありませんので、聞き流していただけると助かります」
「は、はい。西堂先生」


