産婦人科の入り口から、男性と女性が寄り添うように出てくる。
そのままふたりは、駐車していたスポーツセダンに乗り込んだ。
男性が顔を上げてこちらを見たので、私はとっさに身を隠すようにして近くの街路樹の裏に走った。
いったい、どういうこと? 瀬七さんは、私の約束を破って恵さんと一緒にいたということ?
心配そうな眼差しを彼女に送っていたのは、紛れもなく瀬七さんだった。
そして彼の隣を歩く顔色が優れない女性は、何度か病院で見かけたことのある霧島恵さんで間違いない。
ショックが大きくて、ぼうっとしたまま家に帰ってきた。
しばらくして冷静になってきて、瀬七さんは恵さんと恋愛関係になったことはないと言っていたのを思い出す。
再会を果たしてからの瀬七さんは、私や栄斗のことを大切にしてくれていた。
彼の言葉も、嘘のようには思えなかった。
何か、特別な理由があって恵さんを産婦人科に連れて行ったのかもしれない……と必死で言い聞かす。
それから瀬七さんからの連絡を待っていたけれど、結局この日は何もなく夜が明けていった。


