ついにはっきりと面と向かって告げると、東園寺先生は私から視線を外した。
「……西堂先生とは仲良くしているくせに」
「え?」
低く、小さな声で東園寺先生は瀬七さんの名前を口にする。
速くなった心臓の音を聞いていると、東園寺先生は何事もなかったように近くにいた大沼さんを呼び出した。
「ここの器具なんだけど、まだ設置されていないかな?」
「あっ、申し訳ありません。今すぐ、お持ちしますね!」
「頼むよー」
なぜ、私が瀬七さんと仲良くしているのを東園寺先生が知っていたのだろう。誰にも知られていないはずなのに。
不安が一瞬よぎるけれど、それはそれとして東園寺先生が私を諦めてくれるならいいとさえ思う。
東園寺先生に気持ちが移ったことは一度もない。私が好きなのは、ずっと瀬七さんだけなのだ。
そこから東園寺先生は私の顔をまともに見ようとはしてこず、何事もなかったように手術が始まり、私も目の前の患者さんに意識を集中させていった。
半日後。緊急オペが入ることもなく予定通りの仕事をこなし、私は夕方の十七時半に退勤した。
瀬七さんとの待ち合わせは、十八時に病院から少し離れた場所にあるカフェ。
職場が同じだし変な噂が立つといやなので、なるべく人目に付かない場所で、ということになったのだ。
今日は母に栄斗の迎えを頼んでおり、職場の人と食事をして帰るので帰りは少し遅くなると伝えている。
私が滅多に友人や同僚とプライベートで会わないので、母は時間を気にしないで楽しんできて、と快く送り出してくれた。
「瀬七さん、そろそろかな……」


