(無の世界。これが死……)
不思議と恐怖を感じなかった。きっと約束のお陰。ユーリと交わしたあの約束のお陰なのだろう。
(……?)
不意に浮遊感を感じた。恐る恐る目を開けば眼下には見慣れた紅髪が。その周囲には武装した戦士達の姿があった。
(ユーリ……)
ユーリは泣き出した。エレノアの体を強く抱いて。堪えてくれていたのだ。エレノアが旅立つその瞬間まで。
(ありがとう。……そして、ごめんなさい。………?)
視界を何かが掠めた。淡く輝くそれは羽であるようだ。思えば背中に違和感がある。
(っ! これは……)
見ればエレノアの背には白い翼が生えていた。
(これは……カソック……?)
エレノアは白いカソック姿に翼が生えた状態で宙に浮いていた。
(猶予をいただけたと、そう思っていいのかしら?)
彼女は小首を傾げた後で深く頷いた。考えるのは後だ。
『……よし』
意を決して上体を下げてみる。
『くっ! これはなん……とも……っ』
悪戦苦闘しながらも辛々下降してユーリのもとへ。両腕を伸ばして涙する彼を抱き締めた。ユーリがエレノアに気付く気配は微塵もない。
(……これ以上を望むべきではないわね)
いつまで傍にいられるのか、あるいは何がきっかけとなって来世に飛ばされるのか現時点ではまるで分からない。分からないが、今はただ共に在れることを喜ぼうと頭を切り替えることにした。
――それから20年後。
不思議と恐怖を感じなかった。きっと約束のお陰。ユーリと交わしたあの約束のお陰なのだろう。
(……?)
不意に浮遊感を感じた。恐る恐る目を開けば眼下には見慣れた紅髪が。その周囲には武装した戦士達の姿があった。
(ユーリ……)
ユーリは泣き出した。エレノアの体を強く抱いて。堪えてくれていたのだ。エレノアが旅立つその瞬間まで。
(ありがとう。……そして、ごめんなさい。………?)
視界を何かが掠めた。淡く輝くそれは羽であるようだ。思えば背中に違和感がある。
(っ! これは……)
見ればエレノアの背には白い翼が生えていた。
(これは……カソック……?)
エレノアは白いカソック姿に翼が生えた状態で宙に浮いていた。
(猶予をいただけたと、そう思っていいのかしら?)
彼女は小首を傾げた後で深く頷いた。考えるのは後だ。
『……よし』
意を決して上体を下げてみる。
『くっ! これはなん……とも……っ』
悪戦苦闘しながらも辛々下降してユーリのもとへ。両腕を伸ばして涙する彼を抱き締めた。ユーリがエレノアに気付く気配は微塵もない。
(……これ以上を望むべきではないわね)
いつまで傍にいられるのか、あるいは何がきっかけとなって来世に飛ばされるのか現時点ではまるで分からない。分からないが、今はただ共に在れることを喜ぼうと頭を切り替えることにした。
――それから20年後。

