エレノアはそれとなく背筋を伸ばして、さり気なくユーリの方に目を向けた。彼はぼんやりとポプラの木を眺めている。
「貴方がいなくなった後のことを考えるようになりました」
「……苦労をかけます」
「前向きな話しですよ」
ユーリはエレノアに向かって手を伸ばした。けれど、その手は彼女には触れずさらりと宙を掻く。
「変わらないなってそう思ったんです。たとえ見えなくても、触れることが出来なかったとしても、俺の視線の先には変わらず貴方がいる」
空っぽなその拳を抱き寄せたい。そんな衝動に駆られる。今ならば出来る。けれど、少なくとも2年後の自分にはそれは出来ない。その現実をまざまざと痛感する。
「巡り合えると信じてます。俺がこの使命を……勇者の使命を果たせたのなら、きっと」
「あら? 生まれ変わっても、変わらずわたくしを選んでくださるの?」
「愚問ですよ」
エレノアの目尻がじんわりと熱くなる。対するユーリは歯を出して無邪気に笑った。
「俺の心は永遠に貴方のものです」
得意気だが、その頬はほんのりと赤く色付いている。エレノアは笑みを零しつつ空っぽの拳を抱き寄せた。そこにはエレノアの心臓がある。
「貴方がいなくなった後のことを考えるようになりました」
「……苦労をかけます」
「前向きな話しですよ」
ユーリはエレノアに向かって手を伸ばした。けれど、その手は彼女には触れずさらりと宙を掻く。
「変わらないなってそう思ったんです。たとえ見えなくても、触れることが出来なかったとしても、俺の視線の先には変わらず貴方がいる」
空っぽなその拳を抱き寄せたい。そんな衝動に駆られる。今ならば出来る。けれど、少なくとも2年後の自分にはそれは出来ない。その現実をまざまざと痛感する。
「巡り合えると信じてます。俺がこの使命を……勇者の使命を果たせたのなら、きっと」
「あら? 生まれ変わっても、変わらずわたくしを選んでくださるの?」
「愚問ですよ」
エレノアの目尻がじんわりと熱くなる。対するユーリは歯を出して無邪気に笑った。
「俺の心は永遠に貴方のものです」
得意気だが、その頬はほんのりと赤く色付いている。エレノアは笑みを零しつつ空っぽの拳を抱き寄せた。そこにはエレノアの心臓がある。

