【短編集】異世界恋愛 (by降矢)

 これは発作だ。命の灯が消えかけていることの顕れ。

「エラ」

 透かさずユーリが支える。エレノアは彼の胸に体を預けつつ笑顔を浮かべる。

「大丈夫よ。少し休めば良くなるから」

「……無理をさせました」

「ふふふっ、こんな充実感のある疲労なら大歓迎よ」

 苦笑するユーリに連れられて会場を後にする。

「また踊りましょうね」

「ご無理のない程度に」

 休憩用にと用意された一室。寝椅子で眠るエレノアの手をユーリは片時も離すことなく握り続けた。彼女はまだここにいる。生きている。その確かな実感を求めるように。

 それから数週間後。エレノアはユーリの故郷『ポップバーグ』を訪れた。