夏鈴が家庭で困ってることがあるのだろうと思うが、具体的には分からなかった。
男性に対する恐怖心が家庭と関係があるのか?
聞きたいが、これ以上追求すると、逃げられそうでやめた。

夏鈴はその後も一言も離さず、俯いていた。
お客さんがやってきたので、また仕事を再開した。
できるだけ接客は俺がやり、夏鈴には陳列や発注等の仕事を任せた。

夏鈴の背中をさすった時、あまりにも細くて驚いた。前に家まで運んだ時も思ったが、あの頃は翔太の後輩の友達くらいにしか、思ってなかったので、あまり気にしていなかった。
だが、仕事を一緒にするようになり、接する機会が増え、心配になっていった。

コンビニの夜勤の時給は学生にしてはかなりいい方だ。それに週5はシフトに入っているのを考えると、普通はお金に困らない。なのに食べる余裕もないような雰囲気だ。

助けてやりたい気持ちになるが、夏鈴は全く陸斗に心を開いている様子はない。どうしたらよいかわからなかった。