あなたに出会って世界が変わる

ピーピーと無機質なセンサーの音がする。
夏鈴は目を覚まさない。

「陸斗、辛いよな。」
康平は優しく声をかける。

「大丈夫。」
陸斗はつぶやく。

「強がらなくて、いいんだよ。無理して大丈夫なんて言う必要ない。」

康平の言葉で、陸斗の目から涙がこぼれる。

「最近さ、夏鈴、俺に心開いてくれてる感じだったんだ。頼ってくれてると思ってた。だけど、こんなことになってしまった。守ってあげられなかった。」

「夏鈴ちゃん、陸斗には心開いてると思うぞ。」

「それなら、困ってるって、相談してくれてもいいだろ。あんなに1人では家に帰るなって言ってたのに。」

「陸斗ー、気持ちはよくわかる。だけどな、どんなに心を許す相手にでも知られたくないこと、聞かれたくないことがある。家族でさえ、互いのすべてを知ることなんてできないんだから。きっと夏鈴ちゃんは陸斗に虐待されてる姿とかみられたくなかったのかもしれないな。好きな男にそんな姿、普通なら見られたくない。」

「夏鈴は俺の事好きじゃないよ。」

「夏鈴ちゃんから直接聞いたことはないけど、俺は一緒に過ごしていて、陸斗に好意があると思うぜ。お前、かっこいいし、優しいからな。夏鈴ちゃんが好きになってもおかしくない。兄の俺が言うんだ。間違いないわ!」

「なんだよ急に。でもありがとう。」
陸斗はそう言って康平に笑いかけた。