「夏鈴ー。おにぎり食べなよ。」

由衣がニヤッとしながら言う。

「まさか、陸斗さんが来るとはね。私も注目浴びて、なんか緊張したー。」

「私も。陸斗と勝手に距離が近づいたと思ってたけど、自分とはやっぱり違う世界の人間だって思ったわ。」

「別にそんなことないんじゃない?陸斗さんそんなふうに夏鈴のこと思ってないと思うよ。」

「陸斗が話しかけてきた時、みんなが驚いたように見てた。こんな地味な貧乏人が陸斗と釣り合うわけがない。」

由衣は寂しそうに夏鈴を見つめた。

夏鈴はこの夏、陸斗に甘えすぎた自分を反省した。そもそも陸斗を好きだなんて、お門違いもいいところだ。夏鈴はやっぱり1人で生きていくと強く決意した。