オディールが死んだ日に


公演は午後7時から始まった。広い会場はほぼ満席状態。公演時間が始まると徐々にその座席が暗くなってきて、言いようのなない緊張感がつま先から頭のてっぺんまで走った。


第一幕
物語はジークフリード王子の城で、彼の成人を祝って祝宴が催されることころから始まる。
友人たちがジークフリードに祝いを述べるそばで、道化がお祝いに訪れた人々を楽しませているところへ、母である王妃が登場する。

王妃はジークフリードに弓を贈り、明日の舞踏会で花嫁を選ぶように言い渡す。
日が暮れ、客たちが帰っていくと、一人残ったジークフリードは去りゆく少年時代を思い感傷に沈む。
ジークフリードは感傷を振り払おうと、先ほど贈られた弓を持ち白鳥狩りにやってくる。

第二幕。湖では悪魔ロートバルトによって白鳥に変えられた乙女たちが、夜の間だけ人間の姿に戻っていた。

そこで翆が初めて登場した。白いハリのある固めのチュールでできた、水平に広がる丈の短いスカートの衣裳。まるで鳥のように細かな脚の動きを見せている。
舞台用の化粧なのかかなり派手なメイクだったが、一目見て翆だと気付いたのは主役だから、と言うわけではない。まるで最初から彼女にだけスポットが当てられているような、そんな美しさが際立っていたから。

その様子を目撃したジークフリードは、ひときわ気高く美しいオデット姫に心を奪われる。それが翆だ。
ジークフリードはオデットに近寄り、二人は運命の出会いを果たす。
そしてオデットは悪魔ロートバルトの魔力に打ち勝つことができるのは、未だ恋をしたことのない男性による永遠の愛の誓いだけであり、もしその誓いが破られれば、白鳥たちは二度と人間に戻れないと語り、ジークフリードは、ためらうことなく彼女を愛することを決心する。

第三幕、城内での舞踏会。
各国の姫たちが花嫁候補として招かれていたが、オデットを深く愛するジークフリードは誰にも心を動かさない。
そこにファンファーレが鳴り響き、悪魔ロートバルトが娘オディールを伴って登場する。これが所謂黒鳥と言うやつだ。


さっきの白いクラシックチュチュと違い、こちらは真っ黒。まるで彼女が舞う度、黒い羽根が舞い飛びそうな程その踊りはリアルだった。


オディールはオデットにそっくりな容姿で、ジークフリートはオディールをオデットだと思い込む。

ジーフクリートはオディールに幻惑され、窓辺で必死に訴えかける本物のオデットの姿に気がつかない。
そして、ついにオディールに愛を誓ってしまう。
その途端、ロートバルトとオディールは正体を現し、王子をあざ笑いながら姿を消した。

第四幕、白鳥たちの待つ湖畔に戻ったオデットは、ロートバルトの策略にはまりジーフクリートが心ならずも裏切ってしまったことを話し、悲しみにくれる。

そこへ悔恨の情に責めさいなまれたジークフリードが現れ、赦しを乞う。
オデットは彼を許すが、ロートバルトは愛する二人を引き離そうとし、ジークフリードはロートバルトに最後の戦いを挑む。

ジーフクリートはロートバルトに勝利し、オデットをはじめ乙女たちは人間の姿に戻ることが出来た。