「あ、月島さんだ」

「皇月先輩の彼女なんだよね」

冬休みが明けて3学期。

わたしは地味子から完全に学園内の有名人になってしまった。

というのも、プリンセス・プロジェクトで優勝して、クリスマスのダンスパーティーで皇月先輩がわたしのことを「彼女」だと紹介したから。

そしてもうひとつ、わたしが学園で有名な理由は―

「音夢ちゃん、サインお願い!」

突然目の前に差し出された雑誌。

顔を上げると、見覚えのない制服姿の女の子が立っていた。

制服のリボンの色が紺色ということは、2年生の先輩だ。

少し戸惑いながらもペンを取りだしてサインをする。

「わたし、音夢ちゃんのファンでスウィガ毎月買ってるの。これからも頑張ってね」

「ありがとうございます」

「こちらこそ、サインありがとう」

先輩は本当に嬉しそうな笑顔でそう言うと、2年生の校舎の方へ歩き出した。

わたしが学園で有名なもうひとつの理由。

それは、『音夢』という名前で雑誌のモデルをしているから。