「変じゃない?」
夏祭り当日、お母さんに浴衣を着せてもらって最終チェック。
「大丈夫よ。もう出ないと間に合わないでしょ」
「あ、ホントだ! じゃあ、行ってきます!」
慌てて玄関へ向かって家を出た。
急がないと午後6時の集合時間に遅れちゃう。
慣れない下駄で走りながら、集合場所の矢坂神社へ向かう。
神社へ着くと、聞こえてきたお囃子の音。
屋台から漂ってくる美味しそうな焼きそばの匂い。
夏祭り独特の雰囲気に、自然と気持ちが高揚する。
入口に、わたしたちのクラスらしき集団がいた。
みんな浴衣姿で雑談している。
「それじゃ、ここからは自由に回って下さい。花火が終わったら、またここに集合して下さい」
クラス委員の言葉に、それぞれが友達同士で移動し始めた。
わたしはもちろん一緒に回ってくれる友達なんていないから、みんなの後ろをひとりで歩く。