その言葉にさらに周りの子たちも反応して、「すごい、さすがお嬢様」「うらやましい~」なんて盛り上がり始めた。
「毎年家族で行ってるんだ」
自慢げにそう言った如月さん。
フランスか。いいなぁ、私もいつか行ってみたいな。
うちは両親共休みが不規則な仕事だから、夏休みに家族旅行なんてしたことがない。
誕生日やクリスマスだって一緒に過ごしたのは数えるくらいしかない。
今日だってふたりとも仕事で、帰ってくるのはきっと深夜だ。
H.R.が終了した後、特に予定もないわたしはすぐに教室を出て早く帰ろうと昇降口へ向かった。
すると、中庭の方から女の子達の賑やかな歓声が聞こえて来た。
「七星先輩、お誕生日おめでとうございます!」
「プレゼント受け取って下さい!」
そう言ってプレゼントらしきものを手に、皇月先輩を囲んでいる光景が見えた。
7月7日、今日は皇月先輩の誕生日だ。
前にスウィガのインタビューで、「七夕生まれだから七星と名付けられた」って話していたっけ。