「これ、Pinky Candy の最新ワンピだよね。妃花ちゃん、もう持ってるんだ」

「うん。お母さんに買ってもらったの」

「いいな~。ここの服って高いんだよね~」

「やっぱり元モデルのお母さんは違うよねぇ」

如月さんを取り囲んでいる子達が羨ましそうに口にしている。

如月さんのお母さんは、結婚するまでファッションモデルをしていたらしい。

パッチリ二重も、透き通るように白くて綺麗な肌も、百六十五センチの長身も、きっとお母さんゆずりだ。

「そういえば、今読者モデル募集してるんだよね。妃花ちゃん応募してみたら?」

「うん。実はそのつもりなの」

「そうなの? 妃花ちゃんなら絶対選考通るよ!」

「そうそう。誰かさんみたいな地味子じゃムリだろうけど~」

女の子のひとりが、わたしの方に視線を向けてわざと大きな声で言った。