「おはようございます。よろしくお願いします」

雨沢先輩と皇月先輩に連れて来られたのは、都内にある撮影スタジオだった。

「七星くん、おはよう。あれ、その子は?」

スタッフさんらしき女の人が皇月先輩にあいさつしたあと、わたしの存在に気づいてそう尋ねた。

「ああ、高校の後輩です。それで、前に話してた読者コーナー、この子を使ってほしいんですけど」

「あら、変身しがいがありそうね。まかせて!」

女の人はそう言うと、

「じゃあ、ちょっとこっちに来てくれる?」

軽くわたしの背中を押して、別の場所へ移動するように歩き始めた。

その途中、

「あ、美雲(みくも)さん、お疲れ様です!」

聞こえて来た可愛らしい声と、ふんわり漂ってきた甘い香水の匂い。

「凛ちゃん、これから撮影よね。頑張って」

「はい、ありがとうございます!」

美雲さんと呼ばれた人の言葉に眩しい笑顔で答えたのは、まさかの憧れの存在、夜咲 凛ちゃんだった。