「美夢はああいう男の方がいいんだな」

「……え?」

今の言葉って、もしかしてやっぱり……。

「悪い、なんでもない」

先輩は慌ててそう言ったけど、わたしにはちゃんと聞こえていた。

やっぱり先輩、ヤキモチ妬いてくれたんだ。

「あの、わたしが一番好きなのは皇月先輩ですからね!」

わたしが笑顔でそう言うと、「急になんだよ」って照れたように視線を逸らした先輩。

だけど、暗い車内の中でも、月明かりに照らされた先輩の顔は心なしかいつもより赤く見えて。

「皇月先輩でも照れたりヤキモチ妬いてくれたりするんですね」

嬉しくて思わず笑いながらそう言うと、

「……うるさい」なんてまた怒ったように言う先輩も可愛くて。

ああ、幸せだなって心から思った。