「音夢ちゃんでしょ?」

もう一度わたしが訊くと、七星くんは「どうしてわかったんだ」と言いたげな表情になった。

「わかるよ、好きな人のことなら」

最初に音夢ちゃんを撮影に連れてきた時から、なんとなく感じていたことだから。

わたしの言葉に、七星くんは観念したように話してくれた。

音夢ちゃんと初めて会った時のこと、今モデルとして活躍できているのは彼女のお陰であること。

そんな話を聞いたら、わたしが入る隙なんて最初からなかったんだってはっきりわかって。

フラれたことはもちろんショックだったけど、キッパリ諦めようって思えた。

今は、七星くんと音夢ちゃんが両想いになれて本当に良かったって思ってる。

これからもふたりとはいい仕事仲間でいられたらいいなって思っているんだ。

「それじゃ、3人とも撮影お願いしま~す!」

スタッフさんからの声に、わたしと音夢ちゃんは元気よく「は~い」と返事をしてセットの方へ移動した。

さあ、今日も最高の笑顔を見せよう!