「はい、到着」

あっという間にわたしの家の近くに着いて、名残惜しい気持ちでシートベルトをはずす。

「今日のその衣装、美夢ちゃんにあげるからね」

「え、いいんですか!?」

思いがけない美雲さんの言葉に、思わずはしゃいだ声を上げてしまった。

「よく似合ってるから、今度は七星くんとのデートの時に着たら?」

皇月先輩に聞こえないように耳打ちしながら言われた凛ちゃんの言葉に、思わず顔が赤かくなった。

「今日は本当にありがとうございました」

車を降りてお礼を言うと、凛ちゃんと美雲さんが「また撮影でね」と言ってくれた。

皇月先輩も、微かにだけど笑ってくれた。

玄関の前に行くと美雲さんが車を発進させて、わたしは車が見えなくなるまで手を振った。

夢のような時間の余韻に浸りながら、わたしは玄関のドアを開けて現実の世界へと戻った。