夢の中で泣くのを我慢していたのに、現実では泣いちゃったのか。


「ははは。泣いたのはお兄ちゃんの時以来だよ。」


「悠依、まだそのことひきずってたの?」


「まぁね。金髪さん、悪いけど少し席外してくれないかな。」


杏里沙に話したいことがあるし、聞かれたくないから金髪さんには、席を外してもらいたい。


「わかりました。では、扉の前で待たせてもらいますね。あと名前は、金髪さんではなく漪波 暁斗です。」


雰囲気を感じてくれたのか快く承知してくれた。
私はペコリと頭を下げた。


「夢の中でね、最後に会った姿と全然変わらない姿で、 急に立ち止まって振り返って私に話しかけてきたんだ。ずっと遠くて届きそうになかったお兄ちゃんの背中をやっと掴めたと思ったのにね。」

「あの人は、なんて言ってたの?」


不安そうに杏里沙は聞いた。